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DXの第一歩は、組織変革。現状を打破するコツを成功事例とともに解説
株式会社NoSHAPE
デジタル庁の創設やコロナ禍によるIT需要の高まり、人材不足による業務効率化やAI活用の必要性など、我が国のDX推進の波は高まりを続けています。
自社をDX化させるためには、まずは組織全体の意識改革やデジタル活用への理解度を深めることが必要ですが、なかなか上手く運ばずに困っている担当者や経営者も多いと思います。
この記事では、DX化が進まない企業が現状を打破するためには何をすればいいのか、また実際に組織を変革する際にはどのように進めればいいのかを解説します。成功事例と組織変革時の注意点も紹介するので、貴社のDX推進の一助となれば幸いです。
DXが進まない原因は組織にあり?
DX(デジタルトランスフォーメーション)は、デジタルを活用し最適化させることで企業の生産性を上げられることから、多くの組織で求められています。
しかし、DXの推進が思うようにできていない組織も多く、その原因は組織にある場合がほとんどです。ここではDX推進におけるボトルネックや、DXが進まない組織の特徴について解説します。
DXが進まない組織の特徴
DX推進が滞りやすい組織の特徴には、大きく分けて以下の3点があります。
1.組織のデジタルリテラシーが低い
組織全体のデジタルリテラシーが低いために、なかなかDXが進まないパターンです。
デジタルリテラシーが低いと、そもそもDX化の必要性を理解できなかったり、新しいITシステムを導入してもその仕組みや使い方を理解できず、利用しなくなるということが起こります。また、デジタルリテラシーが低いと導入初期にはDXへの反発や混乱が起こりがちなのです。
2.既存システムが複雑
大きい組織や歴史の長い組織に多い要因として挙げられるのが、複雑な既存システムによって新システムへのスムーズな移行ができないことです。
既存システムがブラックボックス化していると、新システムへのデータ連携が難しくなるだけではなく、移行による影響範囲の把握も困難となります。
さらに、複雑な既存システムの管理に人的・金銭的リソースを割いていると、DX推進に充てられるリソースも限られてしまうため、DXが進まなくなってしまうのです。
3.組織が変革に協力的でない
組織が変革に協力的でないことも、DXを妨げる原因のひとつです。
DXを進めるにあたり、利用ツールや業務の進め方などの変化に対応することが求められます。環境が変わることにストレスを感じたり、デジタル化に懐疑的な人は一定数いるため、承認をもらうことや変更を進めてもらうのに時間がかかってしまうのです。
組織が変革に協力をしてくれないと、なかなかDX化を進められないという事態を招いてしまいます。
ボトルネックは技術より組織?
先述でお伝えした通り、DXを妨げるボトルネックになりやすいのは組織体制そのものです。既に多くの人が関わり利用しているシステムや多くの人が扱う情報がある以上、すぐに方向転換をすることが難しい場合もあります。
組織を作り上げているのは社員や関係者一人一人なので、それぞれの考え方や得意不得意なども考慮しながら進めないと、新システムへ移行した際に反発が起きてしまうこともあります。
反対に言えば、組織の協力さえ得られれば多少のリスクや負担を伴うプロジェクトでも、なんとか進められることもあるでしょう。そのため、技術的なことよりもまずは組織変革を行うことが先決です。
組織変革の進め方
組織変革を進めるにあたり必要なことは大きく分けて4つあります。その前提として、戦略やDXが上手くいった際のビジョンを明確にしておいてください。ビジョンがなければ、経営方針はもちろん、現場担当レベルの個々の判断に至るまで、組織全体の進む方向にブレやばらつきが出てしまいます。
「何のために」「それはなぜなのか」という点を定め、全体に周知しましょう。参考までに、経済産業省のDX推進ガイドラインより、ビジョンの示し方を引用します。
想定されるディスラプション(「⾮連続的(破壊的)イノベーション」)を念頭に、データとデジタル技術の活用によって、どの事業分野でどのような新たな価値(新ビジネス 創出、即時性、コスト削減等)を生み出すことを目指すか、そのために、どのようなビジネスモデルを構築すべきかについての経営戦略やビジョンが提示できているか。
引用:デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン| 経済産業省
上記のようにDX戦略やビジョンが定まったら、以下の4点に取り組みましょう。
1.経営陣の理解度・モチベーションを高める
DXのための組織変革を図る際には、まず経営陣の理解度やモチベーションを高めることが重要です。
DX推進の担当者それぞれが必要性を理解していたとしても、経営方針がDX化の方針に沿っていなければ、進めるうちにズレが生じ失敗してしまう可能性があります。
また、DXにはツール導入やデジタル人材の採用など、何かと資金が必要になります。経営陣が意欲的でないと稟議の承認もされにくく優先度も下げられてしまうので、まずは経営陣にDXの重要性などを理解してもらう必要があります。
もし、経営をする立場の人間が自らDX推進を行っている場合には、組織を変えることへのコミットやDXのあり方、デジタルに関する理解を深めておきましょう。
2.組織編成
DXにおける組織変革を進めていくためには、さまざまな仮説を立てながら実行・検証するための組織を編成する必要があります。
DX推進の旗振り役となる組織は企業によって異なるでしょう。多くの場合、以下の3つのパターンに分かれます。
IT部門
社内のIT人材を中心にチームを組み、ITリテラシーや専門知識を生かして組織改革を設計することでDXを推進します。
ITの専門家集団であるIT部門が先導すると、技術的な裏付けがある明確な指示出しが出来ますし、技術的なトラブル時の対応も迅速にできます。
事業部門
ビジネスや組織全体での最適化という観点から、事業部門が主導する場合もあります。
事業部門が主導することで、ビジネス視点も加味したDX推進ができるため、技術的な側面だけでなくDXの意義をもたせた社内周知が可能になります。多くの部門と連携する事業部門がハブとなるため、コミュニケーションもスムーズに取りやすいメリットがあります。
ただし、組織変革の際は社員に対してDXの重要性を説明したりITリテラシーの教育をすることも必要なため、専門家であるIT部門と二人三脚で進めると良いでしょう。
DX推進の専門組織
DX推進の専任のチームを設置し、様々な部門からバランス良く人員を配置すると、多角的な視点をもとにやるべきことの最適解を見つけやすくなるでしょう。
専門組織を新しく設置する場合は、推進業務を専任できる人材や、主体性を持って行動できる人材を選定しましょう。ただ、DX推進と通常業務を兼務させてしまうと、片手間になってしまうこともありスピードが落ちやすかったり、頓挫してしまうケースも考えられます。
また組織に変革をもたらすには、若手層・中堅層も含め主体性を持って行動できる人材を選定することで、経営層をも動かす推進力となります。
3.人材の育成
組織の編成を行ったら、次に組織全体の人材の育成をしなくてはなりません。
DXを推進するには、デジタルの知識やITリテラシーだけでなく、組織や事業をまとめるマネジメントスキルやビジネススキルも必要です。OJTや座学研修などを通じて、それらの教育を行いましょう。
社内での育成が難しい場合
は、社外のセミナーや研修を利用したり、DX人材を新しく採用したりといった方法も効果的です。
4.必要に応じ外部の専門家と連携
DXや組織変革を推進・成功させるためには、必要に応じて外部の専門家と連携することも重要です。経験豊富な専門家と連携することで、DXにおける具体的な施策や組織変革の方法などのアドバイスを受けられ、最短距離でDX化を進められます。
また、昨今の世の中の流れは非常に早いため、デジタルに関する最新情報や組織改革のノウハウをキャッチアップし続けることは容易ではありません。
知見のある外部の専門家の力を借り、自社と似たような組織の成功例・失敗例を踏まえたアドバイスをもらうのが得策といえます。
DXでの組織変革に成功した企業の事例
ここでは、実際にDXに伴う組織変革に成功した3社の事例を紹介します。
花王
化粧品メーカーとして知られる花王は、先端技術戦略室という専任チームを設置することでDXを推進しています。組織内にDXを推進できるリーダー的存在がおらず、なかなか進まなかったそうです。
そこで、DX推進を牽引するための専任チームを設置し、先端技術戦略を進めました。外部ITベンダーとの協業や、自社に対するDX浸透への呼びかけを行いました。
もともと組織全体で尻込みしてしまっていたDXが進み、従業員主体の取り組みにより、組織からも受け入れやすいシステム構築ができたそうです。
参考:https://www.sbbit.jp/article/bitsp/36661
組織の規模が大きければ大きいほど、DX推進には気力も労力も要します。老舗企業や大手企業は多いに参考になる事例ではないでしょうか。
三井不動産
三井不動産では、2016年からDXの取り組みを実施しており、専任チームの設置や新システムの導入により業務効率化やモバイルワークなど社員の自由な働き方の促進にも繋げています。
アナログな業務プロセスによる、生産性の低下や人材リソース不足、人為的ミスの発生していたのが課題でした。
部門を横断した80名で構成された改革プロジェクトチームを立ち上げた。各部門担当者による業務プロセスの見直しや、システム導入・統合を実施。
結果として年に約58,000時間もの業務時間削減が見通せるまでに効率化・最適化できた。
参考:https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/news/2019/0711/
もともとDX推進に力を入れている三井不動産は、部門横断型でチームを組むことで、様々な知見をもとにした業務の最適化とデジタル化を見事に成功させ、本質的なDXを実現しています。
ロレアル
フランスの化粧品メーカーであるロレアルは、デジタル人材を大量採用することで組織改革を実現し、マーケティングのデジタル化に成功しています。
CEO直下に1,000人以上のデジタルマーケティング専門家を雇用し、それぞれの専門知識をもとにデジタル広告やマーケティングなどの取り組みを行った。
デジタルでメイクを試着できる『MakeupGenius』というサービスをローンチし、1年ほどで2,000万ダウンロードを記録するなど、新しいサービスやビジネスチャンスが生まれている。
デジタル人材の知識と経験を生かしたアイディア・プロジェクト進行により、マーケティングのデジタル化はもちろん、ビジネスチャンスが生まれている点が特徴です。もし自社のデジタル人材が不足している場合は、この事例を参考に採用計画を立ててみても良いかもしれません。
DXによる組織変革の注意点
組織変革時の注意点は2点ありますが、どちらもコミュニケーション面で気を付けるべきポイントです。無理やり進めてしまうことによる失敗を避けるためにも、以下に注意しましょう。
方針を全社に浸透させる
組織変革を成功させるためには、DXや組織変革の方針を全社に浸透させることが重要です。
DX推進担当者や経営陣だけでその必要性を認識していても、実際に業務を行うのは現場の従業員です。現場スタッフからの納得を得られなければ、本来上手くいくはずのことも難航する可能性が大いにあります。
なぜDXを進めるのか、どんなメリットがあるのか、将来的に組織や日々の業務はどう変化していく想定なのかを明確にした上で、根気強く全社に浸透させていきましょう。
説得は段階を踏み行う
DX化に伴う組織変革の説得は、段階的に行う必要があります。人は急な変化にストレスを感じやすいものです。いきなりすべての業務方針や手法を変えてもらおうと説得しても、かえって抵抗心が生まれ、社内トラブルに繋がる可能性があります。
組織の従業員の中には「現行システムで進めた方が早い」「一気にやり方を変えることには抵抗がある」という意見を持っている人もいるでしょう。
DXによる組織変革を実現するためには、少しずつ行動を変えてもらうよう説得し、組織変革に対する心理的ハードルを下げられるよう心がけましょう。説得内容をスムーズに理解してもらうためには、専門用語や難しい表現は極力避け、わかりやすい言葉で説得することも重要です。
まとめ
多くの場合、DXが進まない場合は組織そのものに原因があるケースが多いため、DXを推し進めるためには、まずは技術的なことよりも組織変革を行うことが重要です。
組織変革を行うためには、旗振り役となるチームを編成した上で、デジタルリテラシーの高い人材の採用・育成を行っていきましょう。具体的に何から取り組めば良いのか分からない場合は、外部の専門家の力を借りながら推し進めることで成功への近道が見つかるかもしれません。
弊社では、DX化のコンサルを得意とする代表の鬼石を筆頭にコンサルテーションからデジタルでの集客施策をご提案することが可能です。
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株式会社NoSHAPE
当社には、代表の鬼石を筆頭にBtoBマーケティングに精通したディレクターたちが在籍しております。代表の鬼石はKAIZEN PLATFORM出身。BtoBマーケティングのコンサルタントを10社以上手がけ、成功に導いております。
お客様とユーザーから信頼される存在であり続けるため、結果にこだわり活動します。マーケティングを元に広告・SEO・オウンドメディア・EC運用・Webサイト制作など、幅広く手厚い体制でお客様をフルサポートいたします。