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DX化の予算はどれくらい?予算を確保する方法、予算の活用方法も解説
株式会社NoSHAPE
コロナウイルス蔓延によるIT化の促進、AIを活用した人材確保や業務効率改善の流行などにによって、企業がDX化を進める必要性はますます高まっています。
DX化にはコストがかかりますが、どれくらいの予算が必要かわからないという人も多いのではないでしょうか?予算を適切に設定しなくては、中途半端なDX化になってしまったり、無駄なコストをかけてしまったりということが起こります。
この記事では、DX化の予算と予算を獲得する方法や、他企業のDX化事例について解説していきます。各省庁が発表しているDX化推進の予算編成についても紹介するので参考にしてください。
企業のDXの予算はどれくらい?
企業が具体的にどのようなDX化を進めていて、どれくらいの予算を確保しているか確認してみましょう。具体例を知ることで、自社のDX事業にあてはめて考えやすくなります。
2021年にパーソルプロセス&テクノロジー株式会社が、全国の従業員50名以上の会社の経営者・役員、部長クラス以上600名を対象に実施した「社内におけるDX推進に関する実態調査」の結果を参考にみてみましょう。
DXの年間予算調査結果
「社内におけるDX推進に関する実態調査」によると、1年間で確保しているDX予算の平均は4億8891万円でした。
DX化の実施内容とその実施率を見ると、以下4分野を実施している企業が多い結果となっています。
- テレワークの促進:79.0%
- バックオフィスにおけるDX:59.2%
- 営業活動におけるDX:46.2%
- マーケティング:39.0%
また、4事業の平均予算は以下のようになっています。
DX事業 | 平均予算 |
---|---|
テレワーク促進 | 1億7879万円 |
バックオフィス | 2億6263万円 |
マーケティング | 1億8120万円 |
営業 | 2億4197万円 |
これら4つの分野で、DX化推進のために行われた具体的な内容としては、ITツールの導入が最も高い結果でした。
テレワークの促進においては、ZOOMやGoogle Meetなどのオンライン会議システムを導入したことで、出社の必要がなくなり、会議の効率が向上しています。営業においても、ITツールやオンライン会議システムを導入することで、営業コストを抑えることが可能になりました。
不動産事業者のDX予算調査
2021年6月に、不動産業界のDX化推進状況について調査が行われました。全国の不動産事業者237社に対してアンケートが行われ、DX化の予算と内容について報告されています。
その結果、DX化を推進している不動産事業者は218社と90%を超え、前年に行われた同様のアンケート結果の1.5倍になり、不動産業界全体でDX化が進んでいることがわかります。
DXの年間予算については「50万円以上」と回答したのが67%、「100万円以上」でも50%以上という結果になりました。回答者のうち18%は「1,000万円以上」となっており、本格的にDX化事業に取り組んでいることが伺えます。
不動産業で導入されたツールとしては、Web会議システムが最も多く、不動産基幹システム、勤怠管理システムが続きます。VR/オンライン内見システムも導入が進んでおり、コロナ禍以降に49%の企業が導入を決めています。
その他、チャットツールやCRM(顧客管理システム)も導入されています。法改正にともない電子契約システムの導入も進んでおり、既に移行準備を行っているという回答は30%でした。
DXに関する国の予算
政府においては、DX化を後押しするために予算補助プロジェクトが実行されています。各省庁の取り組み内容を紹介していきます。
中小企業対象のDX化
経済産業省では、中小企業が先端ICT(情報通信技術)を活用してビジネスを高度化させるための新規プロジェクトを実施しています。具体的な内容としては、AI人材連携による中小企業課題解決促進事業です。
この事業では、中小企業が解決すべき課題に対して、中小企業とAI人材とをマッチングして課題解決や生産性の向上を目指します。企業の課題解決の成功体験をもとに、中小企業のAI導入を促進する狙いです。
また、「共創型サービスIT連携支援」という事業も行っており、この事業では中小企業がITツールを導入する際にかかる費用を100万円~1億円の範囲で支援しています。ITベンダーと中小企業が共同で機能改善を進め、ツールの汎用化、普及を目指します。
上記2つの事業は、2020年度より新しく予算が確保されており、2021年度におけるそれぞれの予算額は以下の通りです。
- AI人材連携による中小企業課題解決促進事業:6.2億円
- 共創型サービスIT連携支援:5.0億円
経産省がDX化を推進していることが分かります。
医療機関や保険関連事業のDX化
厚生労働省では、マイナンバーカードを健康保険証と一体化させるためのシステム開発支援を進めています。マイナンバーカードによって個人の健康情報や保健情報を一体化させ、医療・介護のDX化につなげようとする狙いです。
これらを支援する「医療情報化支援基金」には、768億円もの予算(2020年度)が割かれています。
また新規プロジェクトとして、「予防・健康づくりに関する大規模実証事業」を計画しています。様々なデータを活用し、健康増進効果に関するエビデンスを確認・蓄積するための大規模実証事業を実施する予定です。
農林水産業のスマート化
一次産業では、後継者不足、人手不足が大きな課題になっており、ICT活用による事業効率化が不可欠です。
農林水産省では「スマート農業総合推進対策事業」を進め、2019年度補正予算で72億円を計上し、先端技術の現場への導入・実証実験を進める予定です。データ分析による土壌作り、データ活用によるスマート農業の社会的実装を支援しています。
DXに必要な予算を確保する方法
DX化を進めるためには、社内で予算を確保しなくてはなりません。ここからは、必要な予算を確保する方法を紹介します。
基本的な流れは企業の現状分析と予算確保となります。DX化が進んでいない企業では、内部の状態を把握することから始めてください。
現状システムの把握
まずは、社内で利用しているシステムを調査し、現状把握を行いましょう。現状のシステムを調査することで利用状況やコストが明確になるため、誰も使っていない不要なシステムがないか、必要以上の運用コストがかかっているシステムがないか、などを把握できます。
システムの状況を調査する際は、社内全体のシステムを洗い出してから、各システムを細かく調査しましょう。そうすることで、調査の抜け漏れを防止できます。各システムの状況については、以下のようなポイントを基準に調査するとよいでしょう。
- どれくらいの人が利用しているか
- 保守・運用などにコストがいくらかかっているか
- 導入時と比べて運用コストが高騰していないか
既存システムを見直す
現状を把握したあとには、社内の既存システムを見直しましょう。既存システムが古いままで老朽化していると、維持や管理に金銭的・人的コストがかかってしまいますし、DX化において弊害が出てきます。
経済産業省が発表したDXレポートによると、企業のIT関連費用の80%は既存ビジネスの維持と管理に割り当てられています。結果として、資金と人材を企業の戦略的なIT投資、DX化に振り分けられていないという現状があります。
日本と比べてアメリカでは、新規サービスの開発やITによる市場分析・顧客行動の可視化などの攻めのIT投資へ振り分けられています。不要なシステムを廃止するとともに、より低コストなシステムに変えることで管理・維持のコスト削減につながり、削減分をDX予算に充てることができます。
経営陣から予算を得る
現状を把握し、既存システムを見直したら、予算を確保しなくてはなりません。
経営陣は、DX化による未来やビジョンが見えない段階では予算を割きにくいです。なぜDX化が必要なのか、DX化をするとどうなるのか、どれくらいの利益やコストカットが見込まれるかなどをまとめ、経営陣を納得させる必要があります。
また、同業種の動向や他企業のDX化状況を共有することで、予算確保につながりやすくなります。
補助金制度を活用する
内部からの予算確保が難しい場合には、国や自治体の補助金を活用する方法があります。システムの導入にあたっては、補助金や助成金制度を利用することで、スピード感を持ってDX化を進めることができます。
補助金情報については、各省庁や各自治体のホームページで掲載されていますので、DX化を進める際には積極的に情報収集をしてください。
従業員数や資本金、売上、業種などに応じて、補助率や上限額が変わってきますので自社に合った補助金を確認していきましょう。
DXの予算確保に役立つ補助金・助成金制度
DX化の推進にあたって、予算確保に役立つ補助金・助成金制度を紹介します。社内で予算を確保するのが難しい場合にも、支援制度を利用することで効率的に予算を確保できるかもしれません。
IT導入補助金
IT導入補助金は、ITツールの導入にかかる費用の一部を支給する補助金です。中小企業の業務効率化や売り上げ向上を目的として作られています。
IT導入補助金に登録されているITベンダーは、あらかじめIT導入補助金の運営事務局や外部審査委員会の審査を通過しているため、中小企業は安心してサポートを受けることができます。
企業の資本金や従業員数、導入ツールの内容などに応じて補助金の補助率や上限・下限額が変わってきますので、自社がどの補助を受けられるかをあらかじめ確認してください。
補助率 | 補助金申請額 | 補助対象者 | ツール要件(目的) | |
A類型 | 1/2以内 | 30万円~150万円未満 | 中小企業・小規模事業者等(飲食、宿泊、卸・小売、運輸、医療、介護、保育等のサービス業の他、製造業や建設業等も対象) | 類型ごとのプロセス要件(業務工程や業務種別)を満たすものであり、労働生産性の向上に資するITツールであること。 |
B類型 | 1/2以内 | 150万円~450万円以下 | A類型と同様 | A類型と同様 |
C類型-1 | 2/3以内 | 30万~300万円未満 | A類型と同様 |
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C類型-2 | 2/3以内 | 300万~450万円以下 | A類型と同様 | C類型-1と同様 |
D類型 | 2/3以内 | 30万~150万円以下 | A類型と同様 |
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事業再構築補助金
事業再構築補助金は、コロナウイルスの影響による社会的ニーズ変化に対応するため、新規事業展開や事業転換などを支援する制度です。中小企業や小規模事業主などが対象になります。
申請の際の最低要件としては、売り上げの減少、認定経営革新等支援機関と事業計画を策定すること、新分野展開・業態転換を行うことの3つです。
補助金の割合については、企業の従業員数に応じて補助金額が変わりますので、しっかり確認しておきましょう。
ものづくり補助金
ものづくり補助金は、中小企業の生産性向上を目的として、新規サービスの開発や生産プロセスの改善を支援するものです。この補助金制度は、以下の3つに区分されています。
- 一般型:サービスの開発や生産方法の改善に必要な設備を補助
- グローバル型:海外事業の拡大・強化のための設備投資を補助
- ビジネスモデル型:中小企業の支援を行う企業を補助
区分に応じて補助率や補助上限金額が変わりますので、下の表を参考にしてください。
補助率 | 補助金上限 | 補助要件 | |
一般型 |
|
1,000万円 | 以下を満たす3~5年の事業計画の策定及び実行であること。
|
グローバル型 |
|
3,000万円 | 一般型と同様 |
ビジネスモデル型 |
|
1億円 |
|
また、業種や資本金によっても補助が受けられるかどうかが決まりますので、申請前に確認してください。
中小企業デジタル化応援隊事業
中小企業や小規模事業者では、DX化を推進するための人材を確保できないという課題があります。中小企業デジタル化応援隊事業は、社内にITに詳しい人材が少なく、人材育成する時間がないという場合に適している制度です。
この制度では、DX化に向けてIT専門家やフリーランス人材から支援を受けた際に発生する、費用の一部を補助しています。IT人材には実績や稼働時間に応じて給与を渡す必要がありますが、この補助金制度を利用すれば時給換算で3,500円分が補助されます。
中小企業がIT専門家からの支援を受けやすくなるため、DX化を進めやすくなるでしょう。
DX化の予算を適切に利用するポイント
DX化の予算を適切に利用するポイントを紹介します。社内でDX化に取り組もうと思っても、適切に予算を利用しなくては持続的なDX化につながりません。
必要なことは以下の4つです。
- 目的や戦略を明確化する
- 低予算なDX化推進施策から始める
- 人材の確保・育成を行う
- DX化推進を外注する
1つひとつの項目について説明していきます。
1.目的や戦略を明確にする
DX化において重要なことは、目的と戦略を明確化させることです。DX化によって何を目指すのか、目的をしっかり決める必要があるのです。
目的が定まっていないと、長期的に見たときにDX化の内容がずれやすくなり、最終的に資金や人材を無駄に使ってしまうことにもつながります。
目的を決めた後は、DX化にむけた戦略を立てることが大切です。企業が置かれている現状を分析し、目的を達成するまでのギャップを確認しましょう。ギャップを埋めるための期間を決め、そこから年単位、月単位でクリアすべき課題を書き出し、戦略を具体化させていくことが大切です。
2.低予算からDXを始める
資金の少ない中小企業では、DX化を低予算から始めることも1つの方法です。DX化にはどうしても資金が必要で、社内での予算確保、補助金の申請などには時間がかかってしまいます。
だからこそ、低コストで利用できるツール(RPA・SFA)や、サービス無料のトライアル版を利用してみてください。試験的に社内に導入し、短期間での導入実績を集めることで、次の本格導入につながりやすくなります。
3.人材の確保・育成を行う
DX化を進めるには、ITに関する知識を持ち、運用・管理を担当できる人材が必要です。予算を試算したり、予算の交渉をしたりするためにも、こういった人材が必要になります。
ただし、知識を持ったIT人材は不足しているのが現状です。採用できるルートを確保するとともに、経験と知識のある人材を見極めましょう。さらに、こういった専門分野の知識を持った人材のコストは高い傾向があるので、コストパフォーマンスを見極めながら人材を確保しましょう。
人材を社内で育成するには時間とコストがかかります。もし社内で育成する場合には、半年や1年といった短期間ではなく、数年後を見据えた長期的な育成を始めていきましょう。
4.外部企業と連携する
外部の企業と連携してDX推進するという手もあります。
中小企業の場合には、DX化担当の人材を確保したり、内部で育成したりすることが難しいかと思います。DX化のノウハウが不足している場合や人材がいない場合には、確保した予算を適切に活用できないことが考えられます。
社内でリソースやノウハウを確保できない場合には、専門の会社に相談するのもよいでしょう。こういった会社では、DX化にともなう予算配分のアドバイスやDX推進戦略の立案、ITツールの導入・運用サポートなどを受けることが可能です。
まとめ:予算を有効に活用してDX化を進めよう
DX化を進めるためには、予算確保が必須です。予算を確保するには、既存の社内システムを見直したり、国や自治体の補助金を積極的に利用したりすると同時に、経営者や上長を説得することが大切です。
さらに、DX化を進めるためには専門的なノウハウが必要であり、社内のリソースで解決できないような課題にぶつかることも考えられます。専門的な知識がないままDX化を進めたとしても、予算を適切に活用できない場合や結果につながらない場合があるかもしれません。
私たち「株式会社NoSHAPE」はDX実行支援事業を行っており、代表の鬼石は今までに幅広いの企業のDX化を支援してきた実績があります。ノウハウやリソースに課題を抱えている場合には、まずはお気軽にご相談ください。
株式会社NoSHAPE
当社には、代表の鬼石を筆頭にBtoBマーケティングに精通したディレクターたちが在籍しております。代表の鬼石はKAIZEN PLATFORM出身。BtoBマーケティングのコンサルタントを10社以上手がけ、成功に導いております。
お客様とユーザーから信頼される存在であり続けるため、結果にこだわり活動します。マーケティングを元に広告・SEO・オウンドメディア・EC運用・Webサイト制作など、幅広く手厚い体制でお客様をフルサポートいたします。